(現在は使っていません)口腔機能の歯医者-DocTak舘村 卓のささやき

様々な原因による食べる,話す機能の障害に対応するための情報を提供します

Team for Oral Unlimited Care and Health 限界無き口腔ケアと健康のための医療福祉団 http://www.touch-sss.net/ http://touch-clinic.jp/

嚥下障害@沖縄

DocTak2007-06-25




先週,札幌での老年歯科医学会で,嚥下運動における基本的要件である口蓋帆咽頭閉鎖機能(鼻咽腔
閉鎖機能)
に関するこれまでの筋電図学的研究結果に基づいて臨床口腔生理学の見地から,『評価の
統一』というシンポジウムで話をさせていただきました.


これまでもこのブログでは,食物の物性によって嚥下に関わる器官の筋活動が変化することを述べて
きました.粘りをつけても決して安全ではない,トロミ食品はレシピが同じであっても時間安定性等
が異なること,温度か変わると粘性に変化が生じることです.一筋縄では行きません.摂食嚥下時の
軟口蓋運動が食の学習による影響を受けること,粘性が高まると軟口蓋の挙上量が小さくなることを
筋電図の仕事から示し,嚥下造影検査でトロミをつけたからといって正しい判断ができるとは限らな
いことを示しました.まだまだ検査は未熟です.


週末は那覇での沖縄県栄養士会生涯教育講座の講師をしておりました.
世話をしてくださった方の中にHさんという元気一杯の「潜る」のがご趣味というかたがおられまし
た.色々とお話しするうちに,Hさんは,私の高校の後輩で,しかもかつての私の自宅のご近所であるとい
うことがわかりました.青春の同じ頁を共有したわけではないのに,同窓というだけで親しくなれるのは,高校時代が濃密に成長する3年間であるからでしょうか.


二番面の写真は,彼女たちが立ち上げた「食楽健康応援団 えいよう相談室」が作成したカロリー
ブック(著者・発行者 宇栄原千春さん)です.これは,通常のカロリーブックでは,沖縄の食卓に
よく乗る食べ物については十分な情報を与えられないということ,今の沖縄の食の記録としてもとど
めておきたいというお気持ちで作られたものです.外食-テイクアウト編,市販食品・弁当・菓子編,
資料編になっており,さらにオマケがついていまして,食に関わる沖縄ことばが載っていることで
す.これは面白い.(興味のおありの方は,『えいよう相談室 FAX 098-890-2760』まで,
ISBN978-4-9903657-0-7


講演後に頂戴し,帰路のJALの中で興味深く読みました.数年前に金谷節子先生が,究極の介護食は伝
承されている田舎料理にあると言われていたことも思い出しました.かつて,大阪府と在宅の要介護
高齢者の方々の嚥下障害の調査をしたときに,難しかったのは大阪の南の方で奈良に近いところで
は,まず「茶粥」を食べることから食事が始まるので,粥が摂れないと食事ができないということを
教えてもらいました.食文化を無視した介護食は,ムムどうかな.単純に『とろみ』だけつければ食
べられるのかな....


奥深いものです.


また口腔ケアの話題ができませんでした....



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