昨日は名古屋の歯科衛生士会で講演をしておりました.最近は,臨床口腔生理学(あるいは応用口腔生理学applied oral physiologyとでも言いましょうか...)から口腔ケアや臨床での不思議な現象を解きほぐすような内容が増えてきております.
最先端歯科医学ではないかもしれませんが,最前線歯科医学と思っております.
今日のブログは,これまでと少々趣の異なった内容を書きます.
昨年11月,私は,mentorとして尊敬しております吉田春陽先生ならびに親しい友人二人と無限責任中間法人 TOUCH を設立いたしました(このブログのタイトル部分のロゴが,その法人のものです).最近,講演をさせていただくとTOUCHへの説明も求められ,お問い合わせも増えてきました.
今日は、この法人の設立趣旨をご説明させていただき,しばらくの間,このTOUCHについてのご案内をさせていただきます.
医学の領域では,組織再生,移植という,いわゆる最先端医療の研究は随分と発展してきましたが,一方で医療の現場を見ると相変わらず救命後に障害を持つ人々は減っていません.むしろ,救急医療の進歩のために,障害を持つ人々は増えているとも考えられます.すなわち,最先端ではない,最前線の医療の進歩も求められています.その一つが『口から食べることの障害への対応』でした.
約10数年前から,多くの施設や機関,団体から口腔ケアや嚥下障害についての講演を依頼されるようになりました.当初,このような分野の医療者や研究者も少なく,また教科書も僅かで,どのようなことでも臨床経験も研究内容も「新しい情報」でした.しかしながら,口腔ケアや摂食嚥下機能の大切さが広く認識されるにつれて,急性期病院,リハビリテ−ション病院,小児施設,保健所,老健施設,特養等々と多種多様な施設から,様々な経験やレベルの方々が講演会にお越しいただくようになりました.問題は,お越しになられる方々の施設を利用されている人々の要求も多様であることです.
すなわち,これまでのような平均的な講演内容では,お越し頂いた方々の施設での個々の利用者さんの特性に応じた明日からの具体的な対応には結びついていないのではないかと感じるようになりました.
個々の施設の特性,利用者さんの障害の内容や程度そして要請,職員の方々の個人ごとのレベルに応じた教育実習プログラムでなければ、貴重な時間を使って参加してくださった方々のレベルアップにならず,また施設の質の向上も期待できません。このことは、結局、利用される方々のQOLの向上にもならないかもしれません.
そこで,利用者さんと職員の方々のレベルに応じた教育プログラムを作成して講習・実習を行ない,さらに施設の質の定期的に再評価する,という実効性の高い教育のための法人としてTOUCH(Team for Oral Unlimited Care and Health限界無き口腔ケアと健康のための医療福祉団)を設立しました.
これまで大学での教育,臨床,研究を通じて得られた多くの知見を,より広く社会に還元したいという気持ちで始めました.
連絡方法等については明日以後に連続して記載していきます.
今週週末は,宮崎県の栄養士さん,全老健の施設運営部会の同じ委員で,ソフト食開発の黒田留美子先生の主催される会で講演です.