(現在は使っていません)口腔機能の歯医者-DocTak舘村 卓のささやき

様々な原因による食べる,話す機能の障害に対応するための情報を提供します

Team for Oral Unlimited Care and Health 限界無き口腔ケアと健康のための医療福祉団 http://www.touch-sss.net/ http://touch-clinic.jp/

嚥下ピラミッドの使用上の注意

DocTak2009-07-14



先週木曜日に埼玉老健施設協会での研修会で口腔ケアの講義をしてまいりました.会場には全老健全国大会や中堅職員研修会でもお目にかかった方々がお越しになられておられました.帰阪の新幹線の時間のこともあってお話しする時間がなく,申し訳ありませんでした.新潟での全国大会でお会いした折にでもお声をかけてください.


最近,栄養士さんたちの会に呼ばれて気付くことがあります.地域の施設や病院で独自に使われている「嚥下食」「訓練食」等々の用語を地域内で統一しようとする試みが行なわれてきているようです.4月に講演に呼んでいただいた愛媛栄養士会でも,愛媛大学医学部,松山市民病院,他4つの病院が,個々に呼称を決めた「食事」の物性を比較して,用語の統一をはかろうとされていました.


このような試みに使われているのが,金谷節子先生が提示されている「嚥下食ピラミッド」です(http://www.nutri.co.jp/dic/ch10-2/keyword1.php).


この嚥下ピラミッドの内容には議論の余地があると思いますし,実際にこの考え方に対しての色々な意見もあるようで,一般的にacceptされてはなさそうです.ただ,これに代わるような考え方は,今のところ国内には提示されていないように思います.
6月19日に新型特養推進協議会で中村学園の三成先生,産業医科大の徳井先生(お二人は中国栄養大学設立に,薬膳の科学でもって関わられています)とご一緒して市民フォーラムを担当した折に,三成先生からイタリヤの修道院では,よく似た考え方があるようにお聞きしました.)


このピラミッドによる考え方を臨床や現場で用いる際には一つ重大な注意が必要です.


それは,食物物性だけでは嚥下の動態が決定されないことです.
すなわち,「嚥下量にともなって咀嚼運動が変化する」ことについての配慮です.すなわち,同じ物性の食品を摂取しても,その量によって咀嚼運動が異なることに注意する必要があります.


たとえば,クラッシュゼリーでも,カレースプ−ンに一杯入れた場合とティースプーンに一杯の場合では,あきらかに生体側の反応,すなわち,咀嚼運動に相違が生じてきます.


これには注意ですね.