先週金曜日,独立行政法人国立病院機構刀根山病院で,上記のようなワークショップがありました.このワークショップの目的を世話人の同院神経内科の松村先生が説明されておられましたので,先生の抄録から抜粋して紹介します.
- 筋ジストロフィーの患者さん達が,大きな歯科的問題を持っていること.この問題は,筋ジストロフィに固有の解剖学的問題(巨舌,高口蓋,歯列異常),機能的問題(咀嚼,嚥下,音声言語),口腔ケアが困難なことによる重症の歯科疾患と多岐にわたること.
- 歯科領域においても,問題意識が低いこと.
以上のようなことからWSが開催されました.歯科領域で筋ジストロフィを継続的に診られている方々が指名されて講演されました.私は,継続的に筋ジストロフィの患者さんを診ているのではないのですが,刀根山病院においてDuchenne型の筋ジストロフィの患者さんの歯科的問題についての介入を行なったことから指名を受けて話をしました.
私のdataは,9歳から21歳までのDMDの患者さんでの,歯牙交換期,咬合力,開口量についての調査結果でした.これまで成人以後のdataはあったのですが,低年齢ではありませんでした.今回の結果から,早期介入によって成人以後の問題の発症を遅らせることができるのではないかと思っています.とくに口腔ケアが困難になるのは巨舌症ですが,若年期から介入することで,口唇閉鎖機能の賦活と開咬を防止することで抑制できるのではないかというのが演者の共通した印象でした.
歯科医師の介入する領域は大きいと思うのですが,残念なことに,予め関西の歯学系の大学や病院歯科にも公的に案内がありましたが,出席者全体でも歯科医師の出席者は演者達を含めても,全体の20%に至りませんでした.
面白いdataを国立精神・神経センター武蔵病院歯科の中村広一先生が紹介されていました.それは,27国立病院機構中,歯科があって常勤歯科医師がいるところが,わずか7ヶ所であり,しかも関東.東北に偏っており,関西には少ないうえ,歯科が閉鎖されるのは関西に多いということでした.事実,当日の参加者の方々は,東北や関東からの方が多かったように思います.歯科医師が少なかったのは,大阪が開催地だったからなのでしょうか.
歯科が閉塞していると言われますが,実は閉塞させているのは歯科医師自身ではないのでしょうか,と思ってしまいます.医師が,歯科や口腔ケアに貪欲に取り組もうとするときに,歯科が無頓着で良いのでしょうか.
今日は,愚痴になってしまいました.
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