彼岸を過ぎ、日差しだけは春めいた日も見られるようになりましたが、気温は冬のまま寒い日が続いています。11日の地震の後、読者の方々にはいかがでしたでしょうか。更新をためらっておりましたが、日頃の臨床で感じた小さな、でも少しお役にたちそうなことを広くお伝えするのを役割とするブログですので、今日も一つの話題を。
PMD(進行性筋ジストロフィー)の患者さんの口腔を観察すると、徐々に舌の体積が口腔容積に比して大きくなり、歯列が外向きにフレアし、開口していきます。
筋委縮が特徴の原疾患が原因であることに加えて,このような口腔構造の変化が咀嚼機能の低下の原因となり,柔らかな食事になる傾向があります。
一般的に,十分に咀嚼筋とくに閉口筋(咬筋、内側翼突筋、側頭筋)を使っていないと健常者でも廃用性に筋機能が低下してきます。咬筋の付着部である下顎角部を触診すると、筋腹ではなく下顎骨そのものを触れるほど,筋が薄くなっていることに驚きます。
このような状態は、要介護高齢者でも急性期などに咬合を維持するための義歯(たとえば全部床義歯)を撤去して長期間経過した場合にも同様のことを経験します。このような場合には、開口状態を維持しようとすると、拘縮した閉口筋を持続的に伸長させることになり、疼痛を感じることがあります。口腔清掃や咀嚼運動が可能な時間が、健常者に比して短縮されることで栄養摂取に加えて口腔ケアも不十分になりがちです。
長期間、軟食や刻み食で経過したり、義歯を撤去していた場合、非経口摂取で経過した場合には,口腔ケアの前に咬筋や側頭筋,頬筋のストレッチも必要になります.
今月は,3月1日に静岡県牧之原保健所にお伺いし,5日に伊都歯科医師会で昨年に続く事例を通じての経口摂取支援のための考え方についてお話させていただき,13日に東京立川にお伺いしました.昨日は大阪府婦人歯科医会で講演をさせていただきました.婦人歯科医会では高校の同級生二人にお会いしました.