口腔ケアの基本は歯ブラシですが,少々気になることが書いてある記事を土曜日に見つけました.私が購読している新聞は,経済から社会の動きを冷静,客観的に見ることができるのでは,と考えて日経新聞にしています.
土曜日には,「プラス1」という,土曜日の朝に読むのには最適の,ゆったりした付録がついています.その中に『ニッポン適量考』という欄があります.毎週,『何か』の数を勘定する欄ですが,先週は『歯ブラシの毛の本数』でした.
私は,歯医者でありながら,この毛の本数は何を基準に決定されているのか知りませんでした.記事によりますと,「毛の数はブラシ全体の硬さを決める要素。硬さには『やわらかめ』『ふつう』『かため』があり,日本工業規格で基準がある」とのことでした.
さて,そこでふと疑問に思ったのですが,この硬さは何で測っているのでしょうか.子供用の歯ブラシは,何故か「ヘッドが小さくて」「毛が短い」となっています.何故,毛が短いのでしょうか.規格上同じ番手(同じ弾性係数)の『毛の材質』であっても,毛の長さが短ければ,当然毛の先端での変形量は小さくなると思われます.すなわち,歯肉に当たれば『痛く』,かつ歯の間の空隙(鼓形空隙)への到達量は少なくなると考えられます.
子供の中に歯ブラシを嫌がる子供さんがいる理由の一つではないのでしょうか.
またヘッドが小さいから取り回しが容易なので,清掃性が高くなるとの説明もありますが,では成人用の毛束をペンチで抜いてしまえば良いのではないのでしょうか.
長期に口腔に介入されていなかった人では,成人でも小児でも,口腔は過敏な状態になっていることが多いように思われます.口腔ケアをするときに,子供用の歯ブラシであると感覚閾値が低下して過敏な状態の方であれば,痛くて拒否されるかもしれません.
今週は口蓋裂学会への出席と大阪南医療センターで講演です.
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