(現在は使っていません)口腔機能の歯医者-DocTak舘村 卓のささやき

様々な原因による食べる,話す機能の障害に対応するための情報を提供します

Team for Oral Unlimited Care and Health 限界無き口腔ケアと健康のための医療福祉団 http://www.touch-sss.net/ http://touch-clinic.jp/

なぜこんな口になるのか?

DocTak2010-03-30


先週末,東京医科歯科大学口腔保健学科で講演してまいりました.
前夜御茶ノ水に入りましたが,随分と寒い夜でした.
翌日,10時からの仕事を始めますと一気に春めいてきて,
雨男(仕事すると晴れる)の面目躍如でした.
お集まりの皆様には,湯島天神のお花見日和にもかかわらず申し訳ありませんでした.

森 菜緑さん,コメント有り難うございました.久しく卒業式を忘れていましたが,皆さんにお会いして若いころを思い出せました.これから頑張ってください.TOUCHのセミナーにも参加してくださいね.


さて,宿題です.『何故,このようなお口になるのでしょうか?』

長期仰臥位にすると,下顎骨は後退して開口位をとる結果,上顎臼歯は「挺出」します.
その結果,上下顎の臼歯が咬合してしまい,他の歯牙は上下接触できなくなります.
これによって開口状態は固定されます.


このような状態になった歯牙に負荷される力の方向を見てみましょう.


1.舌は咽頭に落ち込んでいます.
⇒上下の歯牙に対して外向きの力がかかりません.

2.開口しています
⇒上下の歯牙が接触しないので,咬合力で上下の歯の位置を維持できません.

3.頬部の筋は拘縮しています.
⇒上下顎の歯牙には拘縮した頬の内側向きの力がかかります.


さて,どうなるでしょうか?


上下の歯は,それぞれが勝手に内側に入り込みます.その結果,相対的に口蓋は高くなり,舌は口蓋につかなくなります.食事をお口に入れても送り込みができないために,介助者は,要介護者を後方に倒して重力を使って食事を咽頭に流そうとします.


その結果,このような症状はより一層強くなり,嚥下機能は障害され,口腔乾燥に伴う口腔衛生状態の低下によって誤嚥性肺炎が惹起されます.


急性期にはどうするのか?
回復期はどうするのか?


これへの私見は次回にします.