(現在は使っていません)口腔機能の歯医者-DocTak舘村 卓のささやき

様々な原因による食べる,話す機能の障害に対応するための情報を提供します

Team for Oral Unlimited Care and Health 限界無き口腔ケアと健康のための医療福祉団 http://www.touch-sss.net/ http://touch-clinic.jp/

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DocTak2008-11-01

食品レオロジー特性と軟口蓋運動

私は,嚥下過程での口腔期から移行期の移行段階での送り込みの良否が,いわゆる「咽頭誤嚥」の起点の一つであると考え,嚥下時の軟口蓋運動の調節についての研究を行なっています.


咽頭誤嚥の原因の一つが移行段階にあると考える理由としては,イヌとネコを除く,4つ足動物では咽頭が存在しないことによって誤嚥がなく,一方ヒトに咽頭が生じたことで誤嚥症状を持つことに至ったことや,この咽頭の成立によって軟口蓋での咽頭閉鎖の調節が難しくなったことが挙げられます.


現在取り組んでいるのは,軟口蓋運動と食品物性の関係についての研究です.今週の木曜日に,私の共同研究者である院生のK君の学位研究の発表会がありました.彼の研究では,実に興味深い結果を提示できました.


すなわち,食品の粘性を決定するために,現在一般的に(というか,公式に)使われているB型粘度計にもとづいて同じ粘度を有するように作成した複数の食品が,口腔期から咽頭期への送り込みのための軟口蓋運動のために同じ筋活動を要求するのではないことを明らかにしました.B型粘度計での測定は,ローターを液状食品の中で回転させての抵抗から粘度を決定していますが,実際の口腔内ではローターのような運動を行なっていませんので,口腔運動と一致しない結果が得られるのも当然です.


これから高齢者食品や介護食品を開発する上では,このような生体反応の情報が必要になってくるでしょう.彼の論文は,ほぼ完成近くなっていますので,このブログの読者の方々には期待していただきたいと思っております.


さて,私のQuintessenceでの連載の2回目が出ました.今回は機能的口腔ケアに合理的な生理学的な根拠がいることなどを,運動生理学の観点から書いております.こちらへのコメントなどもお書きくだされば有難いです.


今日は,守口市歯科医師会で睡眠時無呼吸症への歯科からの対応についての講演を行い,明日は紙屋克子先生のプロジェクトに呼ばれて遷延性意識障害の方々の経口摂取を支援する上で,「急性期に気付いていたら...」という視点から話をさせていただきます.

では.