(現在は使っていません)口腔機能の歯医者-DocTak舘村 卓のささやき

様々な原因による食べる,話す機能の障害に対応するための情報を提供します

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意識障害には抗痙攣剤,筋弛緩薬,抗欝剤は定番なのか?

DocTak2007-09-19



先週は,つくば記念病院で紙屋先生の患者さんお二人を診させて頂きました.昨年も診察の後に講演をさせていただきました.今年も同様ですが,皆さんの熱意,さすが記念病院だと感じ入りました.


その後,摂食嚥下リハビリテ−ション学会で「口腔ケア」の座長を務めさせていただきました.いくつか面白い話題もありましたが,総じて『方法論』がまだ主であり,一般論になるためには臨床研究と統計が必要かと感じました.


さて,今日は外来で意識障害の方々が3人お越しになられました.


今年の3月に配管工事中に土止めの鉄板が倒れてきて,25分間脳死状態で,結果としては救命されましたが,いわゆる低酸素脳症になられた30歳の男性でした.現在,あるリハビリテ−ション専門病院に入院されているのですが,寝かせきりの期間が1ヶ月あり,その間に舌は咽頭に沈下して「肉の塊」と化してしまいました.


廃用性変化のために舌を前方に出せないのに,造影検査が行われました.評価は,『経口摂取を禁じる』でした.廃用性変化に陥り,咽頭近くで丸まった舌では,口底に落ちた造影剤をすくい上げることもできず,また舌での送り込みは障害されて嚥下タイミングは崩れていたでしょう.咽頭直前で貯留して時間がたった造影剤は,体温と等しくなって刺激強度が低下しているため喉頭侵入してもおかしくないですね.


意欲が低下しているとのことで色々な精神薬が出されています.
なぜ,depressされている背景を検討せずに,見かけ上の症状を薬剤で逃げようとするのでしょうか?


予防的に抗痙攣剤,脳障害があると抗欝剤,緊張があるので筋弛緩薬.....
これらのいずれもが口腔機能と嚥下機能に影響します.主たる作用ではなくて,副作用のために多くの障害が生まれ,その症状を叩くために別の薬剤が投与される,まるで『もぐらたたき』状態ですね.


今日来られたもう一人の方.その方の主治医(神経内科医)は,出現した多様な全身症状に対症療法的に処方されている薬剤を可及的に減量したいという考え方をされておられ,私たちの考え方に近い主治医です.1ヶ月ぶりに受診されたところ,じつに良好な口腔機能,嚥下機能になられていました.この1ヶ月の間に筋弛緩薬が止められたとのことでした.明確に,副作用に,「流涎」と書かれてあるランドセンなどの抗痙攣剤でなくても,やはり筋弛緩薬は嚥下運動に強い影響を与えるようです.


まだまだ,主治医の思い込みで生まれてくる医原性の障害が嚥下障害かもしれません.


右上の写真は,「つくばエクスプレス」の筑波駅から見える公園です.奥にロケットが見えます.


TOUCHセミナー準備状況


チラシがほぼ完成に近づきました.

来週には配布可能ではないかと思っております.

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