(現在は使っていません)口腔機能の歯医者-DocTak舘村 卓のささやき

様々な原因による食べる,話す機能の障害に対応するための情報を提供します

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架空の81歳男性モデル.


先週木曜日は,箕面歯科医師会在宅診療班の先生方の勉強会で講演をいたしました.かつて,私が学生のときに家庭教師をさせていただいた「ボクちゃん」(失礼)が,箕面で歯科医院を開業されていて,立派な歯科医になられて,参加していただいていました.懐かしいとともに,先日のように不真面目な自分の家庭教師像を思い出して冷や汗でした.翌日は,池田保健所で,在宅難病療養の患者さんの医療的ケアのネットワーク作りに関わる職員研修での講演を,神経筋難病の患者さんへの嚥下障害に取組んでおられる刀根山病院の田ノ上先生(ST)とご一緒いたしました.私もそうですが,田ノ上先生も相当な大阪弁であることに気付き,非常に嬉しかったでした.

昨日は,大阪歯科大学歯科衛生士学校で昨年に引き続き,2回シリ-ズの2回目の講演をさせていただきました.大阪のDHさんたちは実に素晴らしい活動をされています.いつも大変な協力を頂いています.私たちの仕事は,DHさん無くては決して成果を上げることはできません.若きDHさんたちに臨床生理にもとづいた私たちの取り組み事例について,case study風に講演してまいりました.


さて,本題です.
前回のお約束で,架空の81歳男性モデルを考えます.
細かい病態については決めません.まず,何を診るか(見るか?)を書きます.


81歳 男性.
5年前に脳卒中,左側に病巣.
遷延性意識障害
NGチューブ留置,経口摂取せず.
1週間に時々熱発(38度以下)
一日中ベッド上で過ごす.
起座位を採らせることは可能であるが,
採らせると苦しそうにするので,基本的には仰臥位にしている.
昼間,2日に1度の入浴サ-ビスを受けている.
歯科医療職は入っていない.

皆さんは,どこから,そして何から,取組みますか.


私なら,どうするでしょうか.私の講演を何度もお聞きいただいているリピーターの方々なら,お判りでしょう.


何よりもまず,5年前の脳卒中発症時と処置後の経過についての情報の採取です.
責任病巣と障害の関係についての推察です.5年間の経過中の医学的介入の内容,ケアの内容によっては,脳卒中に伴う障害よりも,誤った介入のために機能が低下している場合も多く見られます.


とくに,何故NGチューブにされたのか,NGチューブをする前はどうだったのか,予防的(?)に留置したのか,を明確にする必要があります.
交換の頻度は,太さは,注入時の姿勢は,注入している栄養剤は,排泄はどうでしょうか,非経口的代替栄養法を長期使用していると,当初は難治性下痢で,後期は難治性の便秘になるというのが一般的です.排便が量的にも質的にも障害されていると,腹部の膨満感がつよくなり,食思は低下します.


下肢や上肢の機能はどうでしょうか,とくにいわゆる背筋-僧帽筋,広背筋-の筋力はどうでしょうか,PTさんが入っているなら所見を聞いておきます.頚部の筋はどうでしょうか,
これらは全て体幹保持に必要な筋です,ベッド上でギャッジするだけでは姿勢は保持できません.


ざっと,初回はこんなところを見るでしょうね.
続きは次回に.

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