(現在は使っていません)口腔機能の歯医者-DocTak舘村 卓のささやき

様々な原因による食べる,話す機能の障害に対応するための情報を提供します

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山口の「ふく」は美味でした.姿勢と口腔ケア

DocTak2007-01-28



山口大学での講演を終えて帰阪いたしました.学生のときからの同級生上山教授バスケットボール部全国大会準優勝チーム時代の仲間(当時のキャプテン)の助教と「ふく」を頂いてまいりました.私の思い違いかもしれませんが,博多の「ふく料理」と山口の「ふく料理」の味は違っているように思いました.


最近,テレビでも「お年寄りに優しいベッド」なるものが宣伝されています.病院のベッドは医療職が使いやすいように,ベッド自体が上下できるようなっています.しかしながら,足腰の機能の低下したお年寄りや下肢の短い方ではベッドから離れるときに,足底が床につかず,恐怖を感じるときもあります.最近の家庭用の介護ベッドでは,台を低くでき端座位が取りやすくして,足底を部屋の床につけてベッドから離れることができ,安全なものもでてきました.


このような介護用のベッドの機能は,自分で起座位から端座位を採ることのできない方々でも同様に有効な機能なのでしょうか.もちろん,自分自身で体位変換できる方ですと,その安全性への配慮は有効であると思います.私たちが定期的に診察している,遷延性意識障害を持つR子さんは,筑波記念病院で紙屋先生のところでのリハビリテ−ションを受けられた後,寝返りが打てるようになった結果,ほんの一瞬おかあさんがキッチンに歩を進めた瞬間に自身の寝返りのために転落してしまいました.不幸中の幸いは,リハビリテ−ションのお陰で頭部-体幹の維持ができるようになったために,頭部を床で打たなかったことでした.しかしながら,大転子の骨折となりました.


このような介護ベッドの共通する機能は,

  • 上半身を支える部分がギャッジアップすること,
  • ギャッジアップしたときに膝の裏に当たる部分があがることによって上半身がずれないようになっている,ということが謳われています.

一般的に体位変換ができない状態の人に口腔ケアをする場合,仰臥位で行うことは危険であることは既に申し上げました.そのため,上半身のギャッジアップが必要なのですが,そのときに上半身が下のほうにずれないように,膝の裏に当たる部分を持ち上げると可能なのでしょうか.


これらのベッドがtailor madeで無い限りは,答えはNOです.それは,上半身をギャッジする「台の折れ曲がる部分(右上図Aの部分)」の位置から「膝裏を持ち上げる部分(右上図Bの部分)」までの位置は,一定であるために,下肢の短い人では膝の位置で上半身の位置が規定されることで,腰ではなく背中が「台の折れ曲がる部分」に来てしまうことになります.そうすると,前回のソファに座っておられる方と同じように腹部で胸郭拡張が抑制されることになります.

ではどうするか,です.一つは膝の裏の固定のために,ベッドに附属する「膝裏を持ち上げる機能」を使わずに,タオルをロールにして「膝裏」に入れることです.もう一つ,秘策があります.

これは次回にします.

今週は北野病院で講演です.1時間余りですので,十分な話ができるか少々悩んでおります.

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