ここ何回か,私の出張のことを書いただけで,読者の皆さんにはもう一つ参考になることを記しませんでした.
今日は,本来のところに戻って,springsunさんから頂いた命題についてシリ-ズで書いてみたいと思います.
草食恐竜と肉食恐竜の違いが,臼歯での咀嚼と顎関節にあることは,これまでに記してきました.草食動物では,顎関節を亜脱臼させて,下顎骨を左右に動かして咀嚼します.ヒトも同じです.
もしも顎関節が亜脱臼できない状態になると,咀嚼は障害され,食物は丸呑みになります.
このような状態は,寝かせきりや長期に病院のベッド上で生活された方に見られます.
それはどうしてでしょうか.右図をご覧ください.
筋肉の塊である舌は下顎骨の体部に付いているため,重心は下顎骨体部にあります.そのため,正立位や直立座位であれば,前向きのベクトルがありますので,口を閉じるのは簡単にできます.また,顎関節も容易に前下方に亜脱臼できます.
もしも,ファウラー位やセミファウラー位になると,どうなるでしょうか?右上図をファウラー位やセミファウラー位にして考えてみてください.在宅や施設での障害の原因が見えてきます....
昨日,今日と東京で開催された口腔ケアシンポジウムに出席しました.今,私が,もっとも多く取り組んでいる人たち-遷延性意識障害の人々,認知症の人々-へのアプロ−チの重要性を改めて感じました.大変有意義なシンポでした.惜しむらくは,歯医者と大学勤務者は,ざっとみて数人も(<10人)来られてはいなかったように思います.歯学教育が変わらないと,高齢社会も動きません.是非,歯学部の立派な先生方には,社会を知っていただき,これからの歯科はどうあるべきかの指針を提示していただきたいと思っています.運動障害性構音障害への歯科の役割,嚥下障害への歯科の役割を,在宅や施設で「立派な歯医者のあなた」はできるでしょうか?と大学人に問うてみたいと思いました.
顎関節と姿勢の答えは次回に載せます.
Copyright c2006 Tak Tachimura All Rights Reserved.