先日コメントを下さったEmi-Wonder fountainさんから,またご質問を頂戴しました.
彼女は「これは、素人的質問で恥ずかしいですので載せないでください。」と言われていましたが,興味深いので彼女の同意を得て載せさせていただきました.
その質問とは,「とろみなどをつけて飲用させたお茶などの食後の飲み物は、口腔清拭の初期の役割を担うのでしょうか?」
私は以下のようなコメントをさせていただきました.
「世の中には「トロミ食品」というのが,数十種類出ています.その多くの主原料は,デンプン、キサンタンガム,グア−ガム,ゼラチン,寒天です.この中で最もよく使われるのが,キサンタンガムです.この種類が現在世の中に18種類あります.その内の11種類について粘性について調べたら驚くべきことがわかりました.
どの食品の使用法の説明書にもある「一番粘度の低いもの(ポタ−ジュ状)」に調整しても,
粘度を計ると最大で70〜120倍も違っていました.このことは,同じような調整をしても,口の中でずっと長時間とどまる食品があるということです.すなわち,「とろみを付けるとむしろ飲みにくくなる」場合がある,ということです.(この結果は,9月岡山で開催される,日本摂食嚥下リハビリテ−ション学会で,私と本学部附属病院の栄養士さん,明治乳業の研究員の方と共同で発表します)
口腔清拭の要件としては,1)歯牙,歯周組織だけでなく,舌表面に残留する食物をさらえる,2)口腔前庭に残るものをさらえる,3)歯と歯の間に残るものをさらえる,というところでしょうか.3)は歯ブラシでなくては不可能ですね.では,1)と2)はどうかというところですね.
たしかに,咽喉越しの良い食品は,少し咽頭や口腔内に残留する食物をさらえてくれますが,口腔清拭の一端を担わせるには,適度な時間口腔にとどまり,舌と口蓋で押し付けたら一気に咽頭に流れ,口腔内に残留しないという食品なら可能と思われますが,実際には無いようです.
いまのところは,ブラシや口腔ケアグッズによるのが,安全性や確実性からは良いのではないかと思います.
しかし,このような食品開発は現在のトロミ食品を開発しているメ−カ−にとっては,新たなテ−マですよね.
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