(現在は使っていません)口腔機能の歯医者-DocTak舘村 卓のささやき

様々な原因による食べる,話す機能の障害に対応するための情報を提供します

Team for Oral Unlimited Care and Health 限界無き口腔ケアと健康のための医療福祉団 http://www.touch-sss.net/ http://touch-clinic.jp/

頑張り過ぎないリハビリテ−ション.


先週から今週にかけては桜の花見の宴会がちらほらと近所の公園でも見られました.
私は「条件付雨男」として有名で,「私が仕事をすると晴れる」という条件です.


先週日曜日は天気予報では「雨」であったのですが,私が病院で当直をしておりましたので,しっかりと「快晴」でしたですね.お花見に出かけられた方には喜んでいただけたのではないでしょうか.


昨日は福岡県栄養士会での講演に出かけ,今日は大阪府歯科衛生士会でのセミナーでした.両日とも講演中は実に快適な花見日和でした.この分なら帰宅後に「鯉幟」のポールを立てられるかな,と張り切っておりましたが,きっちり帰宅直前から大雨となってしまいました.トホホ.


さて,今週ある意識障害の患者さんの親御さんからお電話を頂戴しました.昨年に体調を壊され,しばらく急性期の病院に入院されておられ,経口摂取が完全に中断された状態になって,廃用性変化に陥っていたのですが,いつもの「嚥下リハビリテ−ションの肝」である,

  1. 呼吸路の確保
  2. 口腔咽頭機能の賦活
  3. 食物調整


をその病院にもお願いし,かなり良い状態になっていました.全身的にも機能向上ブ−ストをする意味で別の病院でのケアを受けるために転院されました.
1日2食を経口で摂取できる良い状態で転院されたのですが,その病院の方の熱い要望で「1日3食」をトライアルされました.

開始後,逆流性の肺炎と思われる39度弱の熱発と高いCRP値が1度だけ記録されました.その結果,一気に経口摂取は中断となり,昨年の状態に戻ってしまいました.


自身で寝返りを打たない状態で意識障害がある場合には,消化管の運動も低いと考えられます.それであれば,頻繁な食事の提供は十分消化されていない状態で新たに消化管に入ってくる可能性がありますね.

必要とする1日カロリ−も日常生活活動をする人と同じである必要はないかもしれません.

3食必要とする概念は健常な労働者でのことであり,生活する環境によって細かく考えた方が良いように思われます.私たちでも,必ずしも3食とらなくても済んでしまうことがありますよね.


意識障害の人に限らず,要介護状態にある方々では,経口摂取機能が回復するのに随分と時間がかかるのに,落ちていくのは全く急降下的です.根拠の無い印象ですが,再獲得するのに失うにかかった期間の最低3倍はかかるように思います.


輸液療法を行うときに「half correction」という言葉を教えていただいたことがあります.すなわち,電解質バランスが崩れているときに,一気に補正するのではなく,半分だけ補正してみて,自分自身の身体機能がついてきて補完する可能性を伺いながら観察するということです.一気に補正しようとすると,過剰な負荷になりむしろ状態を悪くしていますからです.


嚥下リハビリテ−ションにおいても同様の「half correction」の考えが必要に思います.