(現在は使っていません)口腔機能の歯医者-DocTak舘村 卓のささやき

様々な原因による食べる,話す機能の障害に対応するための情報を提供します

Team for Oral Unlimited Care and Health 限界無き口腔ケアと健康のための医療福祉団 http://www.touch-sss.net/ http://touch-clinic.jp/

内視鏡検査

VE検査は意識覚醒時に用いるものであり,遷延性意識障害の方々にも可能か?


今週,何人かの遷延性意識障害の患者さんから同じコメントを聞いて,まだまだだなぁ,と哀しくなりました.


お二人とも急性期病院にて救命は上手く行きました.しかしながら,そのお二人の入院されている病院では,経口摂取を支援するリハビリテ−ションが難しいとのことを言われていたため,御家族が私どもを探されて来院されていました.


どちらの患者さんも,受傷後から1年を経過していないことから,「寝かせきり顔貌」にもなっておらず,また幸いなことに最近では38度〜38.5度程度の熱発もほとんど認めなくなりました.また血液検査でもCRPは正常な範囲で経過していました.
すなわち,唾液の喉頭侵入(不顕性誤嚥)はないと考えて良いわけです.そこで,長期の非経口摂取のための咽頭感覚の鈍麻と口腔の過敏性を取るために口腔ケアを指示しましたところ,軟口蓋の反射性挙上も良好に認められるようになりました.

そこで,口腔ケアにくわえて直接訓練をクラッシュゼリーから始めましたところ,良好に嚥下できるようになりました.頚部聴診では,軽度のRa音がありますが,しばらくすると咳払いとともに喀出して,嚥下していました.

この所見のために,それらの病院は「経口摂取が可能になった」ということで,近隣のリハビリテ−ション病院に転院されました.


問題はここから始まりました


転院先のリハビリテ−ション病院では,脳血管障害後の嚥下障害の評価に用いるVFとVEで検査されたそうです.その結果,咽頭に造影剤が残ること,内視鏡では咽頭の反射が遅いため,この状態では直接訓練は危険であるとのことから,直接訓練が中止になりました.


しかしながら,どちらの患者さんも,長期に非経口摂取であるので,咽頭に残留しても普通の反応であると思います.それよりも重要なのは,全身の経過が良好であることと長期に非経口摂取であったことです.訓練をしなければ廃用性変化はどんどん進行します.


VEやVFは,?指示が通る,?覚醒状態が良い,という2つの条件がクリアされた人に用いる検査法であることを,嚥下臨床をされる医療者は十分に考慮していただきたいと思います.

内視鏡検査・レントゲン検査の結果解釈の上での注意を次回.