(現在は使っていません)口腔機能の歯医者-DocTak舘村 卓のささやき

様々な原因による食べる,話す機能の障害に対応するための情報を提供します

Team for Oral Unlimited Care and Health 限界無き口腔ケアと健康のための医療福祉団 http://www.touch-sss.net/ http://touch-clinic.jp/

鼻呼吸が担保されないと咀嚼訓練はできない.

DocTak2008-01-31

「一月行く,二月逃げる,三月去る」とはよく言ったものです.実にあっという間に一月は走り過ぎていきました.


生後直後から6年ほど長期に診察している患者さんがおられます.原始反射を脱感作し,舌機能の発達を促すために機能的口腔ケアを行い,舌運動のモードに応じた食事テクスチャの調整,呼吸路の確保のための姿勢の調整を行なって,昨年夏頃より中期食程度まであげることができましたが,咀嚼運動の巧緻性が低い状態でした.


昨年秋頃に全身状態が低下し,ある病院に入院され,その折にアデノイドを切除されました.その後から,まだ中期程度のテクスチャですが,舌運動の巧緻性が改善されてきました.


これはアデノイドを切除したことで,鼻で呼吸ができるようになったためであると考えられます.良好な咀嚼運動には鼻での呼吸が必要とされます.したがって,摂食・咀嚼・嚥下リハビリテ−ションを行なう際,とくに咀嚼運動を賦活したいときには鼻で呼吸できる必要があります.


よく「経鼻栄養チューブを抜去できる要件は口で食べられるようになってからだ」と言われるdoctorがいますが,これは本末転倒であり,口で食べられるようになるためには,鼻で呼吸ができる必要があるのです.


「風邪をひいたらお粥」なのは何故か


鼻で呼吸できないような風邪では,咀嚼時に口で呼吸する必要があり,咀嚼運動が不十分になります.そこで,お粥であれば「丸呑み」にできるためであろうと思われます.では,鼻がつまっていない風邪ではお粥なのでしょうか.NOですね.その場合は咀嚼が可能なので,高カロリー高蛋白の食事をしっかりと咀嚼して食べる方が健康上は望ましいでしょうね.

写真はアデノイドの大きな子供さんの側方X線写真です.丸で囲んだ部分のために患者さんは呼吸障害を持っていると思われます.