(現在は使っていません)口腔機能の歯医者-DocTak舘村 卓のささやき

様々な原因による食べる,話す機能の障害に対応するための情報を提供します

Team for Oral Unlimited Care and Health 限界無き口腔ケアと健康のための医療福祉団 http://www.touch-sss.net/ http://touch-clinic.jp/

ステレオタイプの診断に決別を

秋めいてきましたが,今年の夏が暑すぎたためか,実に寒く感じています.
この夏にいろいろなところでお話をさせていただく機会がありました.それらの機会を通じて沢山の方々の診察させていただくことになりました.名古屋から広島まで,本当に御家族の方々の献身的な支援には落涙するばかりであります.


診察をしながら感じることがあります.それは,本当に多くの医療機関と医療者が,低酸素脳症や外傷性頭部障害と診断すると,ステレオタイプに,「口から食べられない」「必ず誤嚥する」としてしまい,急性期の後に全く機能評価がなされず,介入も不十分なままであることです.


その結果,口腔廃用症候群(勝手に舘村が名づけました)になって悪循環に陥っている方々が多いように思えます.今日初診のお嬢さんは,昨年自転車に乗っている最中に低酸素脳症になった方でした.誤嚥してはいけないとのことで,ブラッシングは徹底した吸引で1日二回行なっておられました.でも,カニューレからの吸引は3〜4時間に1回で,それも自発で喀出したものを吸引する程度とのことでした.

1年以上,寝かせきりなのに舌の咽頭への落ち込みは無く,舌下神経の問題もありませんでした.この間,熱発も認められないことから,私は,喉頭侵入はないと診断しました.でも,残念なことは,寝かせきりであったので,下口唇は下顎前歯部に騎乗するように乗っかり,時々の嚥下時に下口唇を上口唇との間で挟み込んでしまうため,下顎前歯は舌側に傾斜していました.


なぜ,最初の発症の段階で経口摂取に関わる専門職との協力関係があったら,と悔やまれる患者さんです.


さて,セミナーへのお申し込み,多くの方に感謝いたします.金沢,岡山,山口,広島からも参加を御希望くださり,御期待にお応えできるよう,手ごたえのある講義にしたいと思っております.TOUCHで得ていただいた考え方で,是非,今日の患者さんと同じ様な方に遭遇された際には,早期から評価して取り組んでいただきたいと思っています.


第1回TOUCHセミナー 12月8日 お問い合わせ Touch_care@leto.eonet.ne.jp