(現在は使っていません)口腔機能の歯医者-DocTak舘村 卓のささやき

様々な原因による食べる,話す機能の障害に対応するための情報を提供します

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egaさんのコメントを基にして....

DocTak2007-04-04

「またまた戻る,嚥下障害」



2001年に医歯薬出版から出版した『神経科学-コミュニケ-ション障害理解のために』の原著の第二版(左下)が出版されたため,ゼムリンの解剖生理学書の翻訳が終了した思ったのに,また取り掛かっています.
今回は,一部改変と思っていたのですが,実は半分以上が新規のものでした.
ようやく全20章の荒い翻訳が終わり,読める文章に修正をかけていこうと思っています.


2週間ほどで完了した後,既に予定に入っている私自身の臨床口腔生理学にもとづいたケアや嚥下障害の成書にとりかかろうと思っています.


さて,先日のブログ(3月27日)に対して,旧知のegaさんから全く同感のコメントを頂戴しました.そのまま,ここで(手抜きで)紹介したいくらいです.ご一読の程.
まさに在宅や施設で,VEやVFができるかということです.


誤解の無いように申し上げますが,VFやVEを否定しているのではありません.実際に私たちも,これらの検査機器を頻用していますし,口蓋裂の音声言語機能の治療に初めて内視鏡を使った診断を確立した,私の尊敬する宮粼 正(大阪大学名誉教授)の最後の大学院生で,多くの薫陶を受けた者としては,内視鏡を否定するつもりはありません.

内視鏡も,VFも,目的,長所,欠点を把握し,得られた所見を正確に評価することで,有益なものと思います.重要なことは,何故,何をそれで見るかということであろうと思います.


Egaさんのコメントの中に『とはいえ、摂食・嚥下障害は個別性が高く、一律にどの程度のとろみがいいとも言いにくく、難しいです。』とあります.この事実は,個人間でもそうですが,個人内でもそうであると言えます.


私がよく経験するのは,誤った評価のために長期に経口摂取しておられなかった方では,健常者で問題がない人では,「咀嚼しないで丸呑みに近い状態」で嚥下するような食物でも「咀嚼」に似た運動を示します.これは,舌機能の廃用性変化によるものであろうと思われます.


訓練をしていくと,健常者と同じような嚥下動態に変わってきます.すなわち,同じ物性でも,個人の口腔機能の状態で,いくらでもmodeが変わるということです.とすると,今の咀嚼・嚥下機能の生理学的評価が重要であって,その機能のレベルに応じた食物の選択が鍵であるということですね.


「とろみ」この言葉の呪縛から解放される必要がありそうです.....


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