(現在は使っていません)口腔機能の歯医者-DocTak舘村 卓のささやき

様々な原因による食べる,話す機能の障害に対応するための情報を提供します

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相対的嚥下訓練食の考え方

DocTak2007-03-22



口腔ケアになかなかいけませんが,少々横道に.
読者の皆さんは直接的嚥下訓練をどのようにされておられるでしょうか.よく「とろみ」をつければ安全であるかのように書いてあるのが誤りであることは,以前にこのブログで申し上げました.その理由は,「ポタージュスープ状になる」と製品に書いてあっても,粘性で見た場合には,製品間で70倍以上の粘性に違いが出るためであると書きました.


ここで,もう一度考えて欲しいことがあるのです.とろみ剤を物理的に物性で計測すると70倍異なっているのですが,この結果は,『「粘度計」で計測したものである』ということです.


とろみ剤を使う人々は,どんな方々でしょうか.多分,長期に経口摂取していなかった,あるいは義歯が入れられずに軟食ばかり提供されていた方なのではないでしょうか.すなわち,舌機能も含めた咀嚼機能が長期に放置されたために,廃用性変化を生じているかもしれませんね.


実際に私が診察させていただく方々には,長期に経口摂取していなかった方々に,私たちのような健常者であれば容易に嚥下できるようなクラッシュゼリーであっても,このような方々では舌の上下運動によって送り込んでいる場合があります.すなわち,その人の咀嚼能力に応じて,処理の仕方は変化するということです.健常者の官能検査での「とろみ」の評価は,決して要介護・高齢者の機能を評価に使えるものではなく,また「嚥下訓練食」として販売されているのであれば,製造者は,その適応とする障害の程度を明確にする必要があるのではないかと思っています.


これに関連して,次回は,Gold standardのように言われている「VF検査」を取り上げたいと思います.VF検査では,最も重要な問題なのに,無視されていることに焦点を当てて,平気で『確定診断』として使っていることに苦言を呈したいと思います.


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