無限責任中間法人TOUCHを立ち上げたことを公開しました．一種の急性期病院であり，一方では将来の歯科医師になるために最低必要な技術を指導する教育病院である大学病院は，医学部でも，歯学部でも同様に，疾患治療が完了すれば，ある意味では診察する意義を無くします．しかしながら，急性期医療が満点を取ることができないのは当然のことであり，種々の原因で障害が生じることがあります．そのような障害の中に，口腔機能の障害があります．とくに，話し言葉の障害，摂食嚥下障害，睡眠障害があります．
命を危機に晒した責任疾患が治療されていても，これらの口腔機能の障害のために社会復帰や参加できない方は増加しています．しかし，残念なことに，これらの障害を持つ人々のなかには，ご自身の身体的都合だけでなく様々な原因で通院できないことで，廃用性変化が進行して，一層重症化していることを経験します．『なぜ，在宅になった直後に介入ができなかったか』と悔やまれることが何度もあります．でも，上に書いたように，大学病院は本質的に，このような患者さんを対象としていません．しかも，このような人々への対応は，疾患治療医学の哲学ではなく，「ケア」の視点で関わることが必要です．この大学病院をはじめとして急性期医療機関が手をつけたけれど，その後に放置した人々に「ケア」の立場から「手当て」TOUCHするという目的で，TOUCHを立ち上げました．
TOUCHが『Team for Oral Unlimited Care and Health』の略であり，『限界無き口腔ケアと健康のための医療福祉団』の意味であることは以前に公開しました．このチームには，医師を中心とするような階層構造や父権主義医療者，あるいはcomedicalと平気で言ってのける医師は要りません．むしろ，ケアを中心とする人々で対応するチームにしたいと思っています．
TOUCHのロゴは，アルファベットの『S』をデフォルメして，3つ重ねてあります．
これは，Swallow，Speech，Sleepの3つの単語の頭文字を，ロープのようにして編んであるものです．すなわち，一次医療で沈んだ人々を，もう一度浮上することを何とか支援する『命綱』です．
先日たずねてくれたT君は，『波の形で，Big waveなんですか』と聞いてくれました．『それもええなぁ』．
明日，箕面養護学校で，養護学校の先生方や親御さんに，嚥下機能との関係にもとづく食事介助のお話をしてきます．
しばらくは，自分の話が続きましたので，次回は久しぶりに「ケア」の話をします．
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