(現在は使っていません)口腔機能の歯医者-DocTak舘村 卓のささやき

様々な原因による食べる,話す機能の障害に対応するための情報を提供します

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生協食堂のカレーライスはどうでしたか


前回の続きです.


R子さんのお母様への問診で,舌が前方位を採れるようになって以後に状態が好転し,体重も44kg(これまで38kg)に増えたと言われていました.

口腔所見では,前歯は明らかに前方に起きていましたので,装置の矯正力が働いていますと申し上げ,さらに歯牙を起こす効果を増強するために,プレートを調整しました.ところが,今までの維持方法では容易に外れることがわかりました.
そこで,もっと吸着性をあげるための装置を即日で作る時間待ちのため,お昼を食べに行ってもらいました.受け持ち医のS先生は,当院の2階の生協食堂をお教えしたようです.


そこで驚きの結果の報告です.

2階の生協食堂でお母さんはカレーライスを注文されました.しかしながら,この日は経過観察だけの予定でしたので,外での食事のためのスプーンやはさみを用意してこられていませんでした.しかたないので,『肉』だけを除いて,食堂に備え付けの大きなスプーンで,ご飯粒もそのままで,供食されたところ,なんとカレーライスを食されたとのことでした.しかも,13:05〜13:20の間に1杯,完食だったそうです,
これは何だ!!!

脊髄小脳変性症の患者さんの会で教えていただいたことです.『医者は「咽喉に詰めるといけないし,刺激物は機関に入ると苦しいので,カレーライスは駄目」と言うけれど,カレーにすると大きな野菜でも食べられる』.前の東北大学老人内科の佐々木先生のところでのお仕事ですが,カプサイシン(唐辛子の成分)を摂取すると,口に食物を入れてから喉頭挙上を指標とした嚥下までの時間(刺激を与えてから反応するまでの時間で,潜時と言います)が短縮した,すなわち嚥下のための反応が早くなり,さらに呼吸器系が敏感になるという結果がでています.カレーにもカプサイシンは入っているので,R子さんにも効果があったのかもしれません.


しかし,悔しいのは,この感動の時を私は見ることができなかったことです.

昨年に流行ったもので恐縮ですが,『残念!』です.


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