(現在は使っていません)口腔機能の歯医者-DocTak舘村 卓のささやき

様々な原因による食べる,話す機能の障害に対応するための情報を提供します

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オムツはずし


以前の話に戻ります.


公立御調病院の山口 昇先生から教わった話.
山口 昇先生は,オムツはずしで有名な先生ですので,ご存知の方も多いと思います.先生から聞いた話はこうです.先生の病院で脳血管障害のために手術をした患者さんが経過良好で自宅に戻られた後に,再び発症して入院する場合が非常に多いことに気付かれ,その理由を調べられました.(今から15年位前にお聞きしたお話なので所々自分勝手な解釈や覚え違いがあるかもしれませんので,誤っていたら読者の方のご指摘をお願いしたいと思います.)

当時,御調町では,いわゆる「三ちゃん農業」のご家庭が多く,発症前のご老人も労働力の一翼でした.そのため,障害を持たれた後には,他のご家族の労働負担は大きくなり,とても介護にまで手が廻らなくなりました.その結果,多くのご老人が,障害を有して昼間独居となりました.最も重大な問題は,運動機能の障害でした.トイレに自力で向かえず排泄に問題が生じるため,お年寄りは水分摂取を控えられる傾向になり,その結果,脳梗塞の再発リスクは一気に高くなり,再度入院となるというものでした.


そこで,オムツが登場します.入院中からオムツに慣れてもらうようになったのです.入院中からオムツをすれば,なにかと忙しい看護師さん達にとっては一つ仕事が軽減するのです(これもオカシイですね.看護師さんの仕事とは何かという本質的な疑問が湧きますね.今の看護師さんも含めて私達のような勤務する医療職の一日の多くの仕事が「書類作り」です.この事務的な仕事が嫌であることが医療を選択した一つの理由であるのにです).


ところが,この「オムツ」が曲者でした.長い人生を歩んでこられた自尊心を持たれたお年寄りに,オムツをするとどうなるかまでは考えがおよんでいなかったのです.自尊心がひどく傷つけられるのです.また,実際に排尿時の不快感(意識が清明で「オムツ」をして排尿できるヒトはエライ,私は試みましたが,どうしても出ませんでした)は相当なものであり,できるものではなかったのです.


その結果,最近の言葉を借りると,「引きこもり」「老人性欝」という状態になったのです.結果は,同じでした.

山口先生は,入院中から「オムツ」を外すことを考えられました.当然,看護師さん達からは「院長は私達を殺す気だ」と言われたとのことです.しかし,結果として,本当に必要な方(泌尿器系疾患,等々)は,入院患者さんの1/3であったとのことでした.むしろ,急性期からのリハビリテ−ションの方が重要であることにいきついたとのことでした.


さらに面白いことは,オムツをはずすと,ご婦人はお化粧をされるようになり,男性は入院中の女性を気にされるようになったとのことでした.ムム,人間,いくつになっても女性は色気,男性は粋(意気)でないといかんですなぁ.


余談)横道にそれますが,紙屋克子先生の言葉.看護師長の最も重要な仕事は,早出,遅出等々のローテーションを組むことではなく,ケアを十分にするためのシステムや人的配置を考えることだ,といわれていました.


さて,無限責任中間法人TOUCHのロゴが完成しました.右上のマークです.この意味については次回に記したいと思います.ロゴの基本デザインは私が作りましたが,最終的には友人のステンドグラス作家の末友さんhttp://glassayasue.blog.shinobi.jp/に個性的な字体を作っていただいた上,デザインも大きく修正していただきました.有り難うございました.吉田歯科(院長 吉田春陽先生)のスタッフの皆さんに既成のフォントで人気投票していただいたのですが,それを末友さんに見ていただいたら,瞬間的に,なんとその字体の「T」は「TOTO」(トイレのメーカー)の字体であると言われました.どおりで,人気投票したときに,「馴染みがある」という意見があったのも納得です.


TOUCHの構築も徐々に進んでおります.進捗状況についてリアルタイムで公開していきます.


異様に長くなった今回のブログです.次回,もう一度,山口先生のお話します.


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