(現在は使っていません)口腔機能の歯医者-DocTak舘村 卓のささやき

様々な原因による食べる,話す機能の障害に対応するための情報を提供します

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在宅栄養療法のチューブ交換-.


入院中にオムツを外すと,本当に必要な人は3分の一に減りました.次に必要なのは在宅での栄養療法です.そこで,在宅栄養療法のためにNGチューブを訪問で交換する必要がでてきました.当初,すばやく,上手に交換するのが良いであろうと考えられた山口先生は,いわゆる「優秀な看護婦(当時)さん」を派遣しようと考えました.「優秀な看護師さん」というのは,検査結果が読める,看護処置が上手い,場合によっては診断もできるというミニチュアドクターのことを言う傾向があります.山口先生も,そのような看護師さんを派遣しようとしましたが,必要とするに十分な人数の看護師さんを確保できませんでした.そこで,苦肉の策で,保健師さんにも協力を要請したのです.山口先生の予測は,ミニチュアドクターの方からはクレームは出ないだろうが,保健師さんの方からは出るかもしれない,というものでした.


さて,どうなったでしょうか.


結果は予測を完全に裏切ったのです.


すなわち,保健師さんを派遣した先からは,「また同じ方に来てもらいたい」という要請があったにもかかわらず,ミニチュアドクターを派遣した先からはクレームが多く来たのです.

その理由は,こうです.昼間独居のお年寄りにとって,色々会話を交わしたり,四方山話を聞いてくれる人はいません.保健師さんは,訪問しても看護学校卒業以来,技術にやや不安があるかたも多く,じっくり,ゆっくり,クライアントの顔色を見ながら,話をしながらになります.お年寄りにとって,身近な人になっていくので,「またあの人に」です.一方,ミニチュアさん,素早いのは良いのだけれど,お年寄りにしてみると,無言に近く,物扱いでは,嬉しくない,「もう,こんといて」という図式です.


山口先生,「技術は教えられても,心は教えられんなぁ」とのことでした.以後,先生は,保健師さんの再教育をされているそうです.


心ばかり美しくても,技術に問題があっては困りますので,技術は磨くことは絶対的要請と思いますが,心の無い技術は,やはり暴力かもしれません.紙屋先生は,「プロの技術を示すことが大切」と言われています.これは,既に「プロ」という言葉の中に,「心」が入っていることを前提としていると思います.


「自分の家族や最愛の人に,『それ』ができるか」というのが,『それ』を他人にするかどうかの規準のように思います.


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