(現在は使っていません)口腔機能の歯医者-DocTak舘村 卓のささやき

様々な原因による食べる,話す機能の障害に対応するための情報を提供します

Team for Oral Unlimited Care and Health 限界無き口腔ケアと健康のための医療福祉団 http://www.touch-sss.net/ http://touch-clinic.jp/

造影剤にとろみ食品はなんでも良いのか?


今日は少々専門的なお話を...
今週から岡山で摂食嚥下リハビリテ−ション学会が始まります.私も座長を務めさせていただきます.
今日は,学会が提示する嚥下造影検査についての標準的な方法についての私見を.
その中には,嚥下造影の際に,必要によってはとろみ食品を使うように書いてあります.
以前にも書いたように,とろみ食品は,同じ指示にしたがって溶解しても,粘性が70−120倍異なります.

問題はここからです.私と一緒に筋電図の研究をしている院生の奥野君の仕事では粘性が上がると個人が楽に飲みこめる量は少なくなっていきます.咽頭への食塊の入り口に当たる軟口蓋を挙上する口蓋帆挙筋の活動に嚥下量が関係しますので,とろみ食品の種類と混合の仕方の相違で口腔から咽頭への食塊の送り込みの様相が異なることが考えられます.

とろみ食品の造影検査への使い方の相違で,ある病院でのVF検査の結果は,別の病院では再現できないことが起こります.
最近,多くの病院で造影検査が行われるようになりましたが,私たちの病院では問題ないと診断した同じ患者様で,別の病院では異なる苦味のある造影剤と物性の異なるとろみ食品を使用した結果,異なる検査所見となった子供さんがおられます.残念なことに,その後,経口摂取を禁じられ,口腔機能の廃用性変化を懸念しました.
まだまだ,この分野は未発達ですが,学会のHPに書かれてあると,既に検証されたように勘違いします.
気をつける必要のあることです.

Copyright c2006 Tak Tachimura All Rights Reserved.