(現在は使っていません)口腔機能の歯医者-DocTak舘村 卓のささやき

様々な原因による食べる,話す機能の障害に対応するための情報を提供します

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離乳食


 先週初診した山本司ちゃん(3歳6ヶ月,仮名)は,ファロー4徴Fallot's tetralogyを有する子どもさんで、保健所の小児科医と障害児施設の言語聴覚士の先生から紹介されました.3才6ヶ月になっても食事が丸呑みになってしまうということで、その原因と対策について求められました。

生後直後に心臓疾患を治療するために専門病院に入院され、1歳時に心臓の手術を受けられ、1歳半になるまで鼻から胃までの栄養チューブで鼻腔栄養されていました.手術後の経過がよいために、御両親が口から食べさせたいと強く希望され、主治医が渋々承諾しました。ご自宅の方で1歳半の子供が食べられる食事をと考えられ、工夫して調理されましたが司ちゃんは,スプーンをチュパチュパ吸ったり、ずっと口の中に食べ物を持ったままになって,うまく食べることができず,時間がたってから丸呑みしていました。以後,2年間丸呑みに近い状態が続いていました。

この司ちゃんの問題は、

  • 長期にチューブ栄養していたために,指しゃぶりやお母さんの頬摺りなどで脱感作して離脱できる生後直後の原始反射が残存していたこと、
  • 長期の鼻腔栄養チューブ栄養のために舌機能の発達が十分でなかったため、離乳期初期の子供さんと同様の舌の前後運動しかできず、固形食を咀嚼することができないことにあると思われました。

司ちゃんへの対応は、以下のようなおのです.

  1. 原始反射よりの脱感作
  2. 舌の機能の訓練
  3. 食事調理の指導

 司ちゃんも、生後直後の医学的介入により口腔機能の発達が滞り、その結果1歳半になっても離乳初期食も開始できなかったのだと思われます.

 離乳食の開始について、母子手帳では初期食が5カ月、中期食が7カ月、後期食が9カ月、と月齢で書いていますが、離乳食の開始時期は,口腔機能の発達段階に応じて決定するべきであろうと思います。</span>

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