(現在は使っていません)口腔機能の歯医者-DocTak舘村 卓のささやき

様々な原因による食べる,話す機能の障害に対応するための情報を提供します

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歯根膜反射を使った咀嚼運動の賦活の話とHPの新しいページ

長期非経口摂取例


先週,私が長く診させていただいている遷延性意識障害のお嬢さんのお母さんから大変興味深いお話をいただきました.


このお嬢さんは,高校生の時の夏のテニスの練習中に低酸素脳症になり,翌年1月から診させていただいているお嬢さんです.当初は例のごとく仰臥位で経過していたことで,舌根沈下,開口,さらに原始反射の一つ咬反射が強く,加えて気管切開によって喉頭運動が制限されていたため誤嚥症状を呈していました.


比較的早期に診させていただき,姿勢のコントロール,脱感作に続いて,カニューレを抜去し,多くの意識障害の患者さんに見られる口腔の変化を防止できました.

ちなみに,このような変化とは,

臼歯の挺出による閉口(咬合)障害+非経口摂取による頬筋の拘縮

側方歯群の舌側偏位による舌ー口蓋の接触障害

食塊の送り込みの障害による口腔内での食塊の貯留

誤嚥リスクの増大になります.

写真はこのような方々に共通する口腔所見です.

このお嬢さんには,上記した訓練に加えて,舌と口唇の運動modalityに応じた食事指導で,現在は離乳中期食程度の訓練食の経口摂取が可能になっています.
成熟型の咀嚼嚥下機能に賦活移行する訓練プログラムを行っていますが,その際に,食事を口腔内にあるときに咀嚼運動が弱くなると軽く歯牙の切端をシリコンスプーンでこすると,また動き出します」と言われました.


歯根表面にある膜すなわち歯根膜の受容器は、咀嚼を促すために歯根膜閉口筋反射を生じる機能を持っています.このお嬢さんでは,早期に姿勢を起こして,舌を前方位に戻し,頬筋のストレッチを行うことで,上記した経過を取りませんでしたので,ほぼ正常な咬合関係を維持でき,歯根膜反射を用いることができているのだと思います.

しかしながら,側方歯群が上下で離開している場合には,期待できないことになります.できるだけ,早期に挙上位をとってもらいたいものです.



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