(現在は使っていません)口腔機能の歯医者-DocTak舘村 卓のささやき

様々な原因による食べる,話す機能の障害に対応するための情報を提供します

Team for Oral Unlimited Care and Health 限界無き口腔ケアと健康のための医療福祉団 http://www.touch-sss.net/ http://touch-clinic.jp/

長期の仰臥位と尿路結石

DocTak2010-05-11



前回記事をアップしてから(4月17日)随分と暖かくなりました.
連休が明けた大学のキャンパスでは初夏のような木々の茂り様になりました.

先日受診してくださった遷延性意識障害のお譲さんです.
お母さんが「先生,こんな石持ってきました」と言われて提示のような容器に入った「砂粒と小石」を見せてくださいました.


私は,てっきり何処かの砂浜に行かれて記念に持ち帰ってこられたのかと思いましたが,
それにしては何となく違うなぁと思っていました.


お譲さんには「おむつ」を当てておられるのですが,交換の時に随分と痛がられるようになったため泌尿器科を受診したところ,多くの尿路結石が見つかったとのことで超音波での破砕治療を受けられたとのことでした.


それにしても多い.

座ったきり,寝かせきりの場合には大腿骨を始めとして体重がかかりません.
骨が維持されるためには良好なターンオーバーが必要ですが,
骨には負荷がかからないと,いわゆる「骨粗鬆症」の状態になり,骨は溶出します.


このお譲さんは,良否は別にして,「おむつ」であったために破砕治療が可能であったのでしょう.
別のSCDの患者さんでの経験では,留置しておられるバルーンカテーテルの周囲に結石があり,
尿路の粘膜とのあいだで癒着しているために交換ができない状態であり,そのために排尿障害になっているとのことでした.

液体栄養剤の長期使用では低Na血症になることが知られていますが,長期に臥褥しておられる場合には高Ca血症にも注意が必要かもしれません.


なによりも荷重をかける,すなわち骨粗鬆症を予防するのと同様に早期から大腿骨に体重を載せるような負荷訓練が必要と思われました.