(現在は使っていません)口腔機能の歯医者-DocTak舘村 卓のささやき

様々な原因による食べる,話す機能の障害に対応するための情報を提供します

Team for Oral Unlimited Care and Health 限界無き口腔ケアと健康のための医療福祉団 http://www.touch-sss.net/ http://touch-clinic.jp/

久しぶりの臨床の話-ダウンちゃんの食事の問題

DocTak2009-12-20



12月5日に名古屋での嚥下研究会「嚥下マニア」で,まさに「マニアック」なお話をしてまいりました.翌6日には富山高岡での意識障害の患者さんとご家族の会「重度・意識障害者、児のくらし向上に共に歩む『めざましの会』」でお話してまいりました.皆様,運営お疲れ様でした.有り難うございました.


さて久しぶりに臨床の話を.....


東京のある施設から,離乳後の食事がうまく摂ることができないというダウンちゃんのお譲ちゃん(当時2.5歳)の御紹介を2年前にいただきました.


お母さんにお話をお聞きしたところ....
(カッコ内は私の心のつぶやきです.Tは私の発した言葉です)

T「ご出産は満期でしたか?」


その御答えでは,帝王切開で早くお産みなったとのこと(…離乳開始が早かったのでは....


T「では,小さくお産みになった?」


そのようでした.


T「では,早く大きくしたいと思われました?」


離乳食の開始時期を母子手帳通りされたとのこと…やはり…).


T「お嬢さんは,今食事をされるときに『丸のみ』されませんか?」


お母さん「します


T「一所懸命噛まないといけないような繊維の多いものは苦手じゃないですか?」


お母さん「そうです,苦手です」


健常児でも小学校に上がってから給食が苦手になる子供さんを、最近多く経験します.
このお嬢ちゃんも同様のようでした.口腔機能の発達が不十分な段階で離乳食の段階を上げたために咀嚼機能の発達が不十分で丸呑みになるタイプの子供さんでした.

(このあたりの詳細は、拙著「摂食嚥下障害のキュアとケア」に記述しています。)


いつもどおり,一端,離乳中期食まで戻していただいて,歯ブラシの時に『舌』を左右から内側に押してくださいとお願いしました.これは咀嚼に必要な舌の左右運動を誘発させるためです.


ダウンちゃんでは,開咬であったり,下顎前突であったりで,相対的に大きな舌が左右に動かせなくて丸のみになっている場合があります.同様な所見は筋ジストロフィの方々にも見られます.

件のお譲さんは,半年後には良好に咀嚼ができるようになりました.半年に一度の再診で観察だけで良いであろうと思っていたのですが,幼稚園に上がってから、新たな問題が生じて,その後もお付き合いが続くことになりました.

再診時の問診で,幼稚園へ通われるようになってから,食事自体を嫌がるようになりましたとのお話を頂きました.同時に問診で,中耳炎に頻繁に罹患するようになりましたという御母さんのコメントも頂戴しました.


さて、その原因は何でしょうか?


少々長くなりましたので、次回に考察してみます.