今日は吉田先生のところで久しぶりのテーマに遭遇しました。
舌小帯短縮症の延長術はいつするのか?これは学会では議論になることはないようですが、
日常的に尋ねられる問題です。
その理由の背景には、ある種の母乳哺乳を指導される助産師さんたちの指導があります。
乳児が母乳をうまく取れないときに指を舌の裏(口底)に入れて、舌小帯を触り、
これは「舌小帯短縮症であり、それでうまく母乳が搾乳できない。これは延長術をする必要がある」
「もしもしなければ将来言葉にも問題が出る。」ということばで母親は非常に不安になります。
医師の中にも、このようなことに賛意を示される方もいて、口腔機能を扱う立場では困ることが多くあります。
舌小帯の特性
舌小帯は、
- 生後直後は舌の発達が不十分なため舌小帯は前方についている。
- 咀嚼するようになって舌の筋が発達すると、小帯は相対的に後方に移動する。
- 乳児の段階での舌小帯が、4歳ころで完成するとされる構音機能に与える影響はわからない。
このような特徴を持っています。
親御さんへの説明私が、この時期のお子さんの親御さんにお話しするのは、
- 筋性の短縮症でなければ(まず無い)、この時期での手術は不要です。
- ことばへの影響は、サ行やラ行に出ます。そのため、早くても3.5歳頃にならないと判定できず、言葉への影響は手術の根拠にならないです。
- ただし、離乳期が終わった後で、言葉に問題ないのに、食事時間が長い、小さくしないと食べられない、丸呑みする、等の咀嚼機能の問題が見られるなら、舌小帯を延長したほうが良い場合もあります。ただし、これも3-4歳頃にならないと判定できません。
以上のようなお話をしています。
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